Windows 11でLinuxを動かす準備|PCの確認とVirtualBoxの導入
Windows 11のPCでLinuxを学ぶ準備を、CPU・メモリ・仮想化の確認から説明します。VirtualBoxの入れ方、AlmaLinux 9のISOの選び方、ダウンロード後の確認まで、初めての方が順番に進められる手順です。
学習ガイドの目次 第1回 / 全4回
目的別ガイド
自分のPCの条件を確認し、VirtualBoxとAlmaLinuxのインストール用ファイルを用意する。
前提:Windows 11のPCを普段使っていれば始められます。
この記事の目次
今回は「Linuxを入れるための準備」まで
VirtualBoxを使い、Windows上に学習用の仮想マシン(VM)を1台作ります。仮想マシンは、ソフトウェアで作る仮想的なコンピューターです。この中にLinuxをインストールして実習します。
| 用意するもの | 役割 |
|---|---|
| Windows 11のPC | VirtualBoxを動かす側のPCです。このPCをホストと呼びます。 |
| VirtualBox | 仮想マシンの作成・起動に使うソフトウェアです。 |
| AlmaLinuxのISO | Linuxをインストールするためのファイルです。 |
ホストで動くWindowsをホストOS、仮想マシンで動くAlmaLinuxをゲストOSと呼びます。Linuxのインストール先には仮想ディスクを使います。これは、Windows上のファイルを仮想マシンのディスクとして扱う仕組みです。
今回はPCの条件を確認し、VirtualBoxとISOを用意するところまで進めます。ISOのダウンロード時間は、回線速度によって変わります。
PCの種類・メモリ・空き容量を確認する
- Windowsのスタート → 設定 → システム → バージョン情報を開きます。
- 「システムの種類」にx64ベース プロセッサと表示されることを確認します。「ARMベース」と表示される場合は、この連載の構成とは異なります。
- 同じ画面の「実装RAM」を確認します。
- エクスプローラーの「PC」を開き、仮想マシンを保存するドライブの空き容量を確認します。通常はCドライブです。
| 項目 | この連載の目安 |
|---|---|
| PCのメモリ | 16GB以上を推奨 |
| ドライブの空き容量 | 60GB以上を推奨 |
| インターネット | インストーラ・ISOの取得と、Linuxの更新に使用 |
| Windowsの権限 | VirtualBoxのインストール時に管理者権限が必要 |
この数値は、Windowsを使いながらLinuxへメモリ4GBを割り当てるための実習上の目安です。保存容量には、ISOと、仮想マシンを以前の状態へ戻すための記録(スナップショット)も見込んでいます。製品の最小要件とは異なります。
仮想マシンの起動中は、割り当てた分だけWindowsや他のアプリで使えるメモリが減ります。
PCのメモリが8GBの場合は、次回作る仮想マシンのメモリを2GBにするなどの調整が必要です。仮想マシンは1台だけ起動し、使っていないアプリを閉じて進めます。ドライブの空き容量が足りない場合は、先に保存先の容量を確保しましょう。
「仮想化」が有効か確認する
仮想マシンを動かすために、CPUの仮想化機能を使います。まずWindowsの画面で、有効になっているか確認します。
- Ctrl + Shift + Escを押し、タスク マネージャーを開きます。
- 「パフォーマンス」を選び、「CPU」を開きます。
- CPUの情報欄にある「仮想化:有効」を確認します。
「有効」なら、この確認は完了です。「無効」の場合は、PC本体の設定画面であるUEFI/BIOSで、仮想化機能を有効にします。
WindowsにVirtualBoxをインストールする
- OracleのVirtualBoxダウンロードページを開きます。
- Base Packagesの表から、WindowsのWindows Installerを選びます。この連載はVirtualBox 7.2系の画面を前提にしています。
- ダウンロードが完了したら、エクスプローラーの「ダウンロード」から、名前が
VirtualBox-で始まり、-Win.exeで終わるファイルを開きます。 - Windowsの確認画面では、Oracleのインストーラであることを確かめて進めます。管理者のユーザー名やパスワードを求められ、承認できない場合は、PCの管理担当者にインストールを依頼します。
- 画面の案内に沿って進みます。インストール先は、通常、最初に表示されるフォルダーを使います。
- インストールを終え、スタートメニューからOracle VirtualBoxを開きます。仮想マシンを管理する画面が開けば、この段階は完了です。
ネットワークの再設定や一時的な切断について確認が表示された場合は、オンライン会議やファイル送信などが終わってから続けましょう。
Extension Packは、この連載の実習では使用しません。VirtualBoxへ追加機能を入れるためのものです。ここでは本体のBase Packageをインストールすれば準備できます。
AlmaLinux 9のDVD ISOをダウンロードする
ISOイメージは、DVDなどのディスクの内容を1つのファイルにまとめたものです。今回はAlmaLinuxのインストーラを含むISOをダウンロードし、次回VirtualBoxで読み込みます。
- AlmaLinuxの公式ダウンロードページを開きます。
- バージョンはAlmaLinux OS 9を選びます。ページを開いた直後は、AlmaLinux 10など、別のバージョンが選ばれている場合があります。
- CPUの種類はx86_64(Intel/AMD 64-bit)を選びます。
- ISO ImagesのDVDを選び、ファイルを保存します。
- ダウンロードが完了するまで待ちます。ダウンロード中のファイルは、インストールに使えません。
資料確認時の9系の安定版は9.8です。ファイル名はAlmaLinux-9.8-x86_64-dvd.isoのようになります。今後9系が更新されると、この番号も変わります。試験公開版のBeta/RCは選ばず、安定版を使います。
| ファイル名の部分 | 確認する内容 |
|---|---|
9.x | この連載で扱うAlmaLinux 9系 |
x86_64 | 今回のIntel/AMDのPCに対応する種類 |
dvd.iso | インストールに使うソフトウェアを収録したDVD版のISO |
DVD版も、VirtualBoxではISOファイルのまま読み込めます。次回はインストール方法としてMinimal Install(最小構成)を選び、実習に必要なソフトウェアを後から追加します。
ダウンロードしたISOを確認する
公式ページには、ISOのハッシュ値が掲載されています。ハッシュ値は、ファイルの内容から一定の計算方法で求める値です。今回はSHA-256という計算方法を使い、ダウンロードしたISOの値と公式の値を比べます。
- 公式ページで、選んだ9系・x86_64・DVDのSHA-256の値を確認します。CHECKSUMファイルが用意されている場合は、その中から同じファイル名の行を探します。
- Windowsのスタートを開き、PowerShellと入力して起動します。PowerShellは、Windowsでコマンドを入力・実行するためのツールです。ここでは管理者として起動する必要はありません。
- 次のコマンドのファイル名を、自分がダウンロードした名前に合わせて実行します。
- 実行場所
- Windows(PowerShell)
- アカウント
- 現在のWindowsユーザー
- 権限
- 通常
Get-FileHash -Algorithm SHA256 "$env:USERPROFILE\Downloads\AlmaLinux-9.8-x86_64-dvd.iso" | Format-List Algorithm,Hash$env:USERPROFILEは、現在のWindowsユーザーのフォルダーを表します。「ダウンロード」以外にISOを保存した場合は、コマンド中のファイルの場所(パス)も変更します。
エクスプローラーでISOを右クリックし、「パスのコピー」を選びます。コマンド中のファイルパスを、前後の引用符も含めて、コピーした文字列に置き換えてください。コピーしたパスに引用符が付いていれば、追加は不要です。パスの先頭と末尾に引用符が1つずつあることを確認します。
計算が終わったら、表示されたHashの64文字と公式の値が一致するか確認します。英字の大文字・小文字は区別しません。別バージョンやBoot ISOの値と取り違えないよう、ファイル名も見比べてください。
一致しない場合は、確認しているバージョンとファイル名を見直します。それでも一致しなければ、公式ページからISOをもう一度ダウンロードします。確認を終えたら、次回は仮想マシンを作ってLinuxをインストールします。
- VirtualBoxの管理画面を開ける
- AlmaLinux 9系・x86_64・DVDのISOを保存した
- ISOのSHA-256が公式の値と一致した
- ISOの保存場所と、仮想マシン用の空き容量を確認した
準備で止まったときの確認先
| 困ったこと | 最初に確認すること |
|---|---|
| インストールが組織の設定で禁止される | PCの管理担当者へ相談します。制限を回避するための設定変更は行いません。 |
| VT-x/AMD-Vに関するエラーが出る | CPUの仮想化設定、VirtualBoxのバージョン、エラーメッセージの全文を確認します。「仮想化:有効」でも、他の仮想化機能との組み合わせが関係する場合があります。 |
| ハッシュ計算でファイルが見つからない | ダウンロード完了、保存先、実際のファイル名を確認します。バージョン番号だけでなく、末尾のdvd.isoも見比べます。 |
| PCが重くなる | タスク マネージャーでメモリの使用量を確認します。起動する仮想マシンは1台にし、メモリを割り当てすぎないようにします。 |
この段階でLinuxのログイン画面が出ていなくても問題ありません。今回は、VirtualBoxとLinuxのインストール用ファイルを用意するところまでです。
できたことを確認
- PCがIntel/AMDのx64で、仮想化が有効になっている
- 仮想マシンへ割り当てるメモリと、保存先の空き容量を確認した
- WindowsでVirtualBoxを開ける
- AlmaLinux 9系・x86_64・DVD ISOのダウンロードとSHA-256照合を終えた
参考資料・対象環境
- Oracle:VirtualBoxのダウンロード
- Oracle:VirtualBox 7.2のインストール
- Oracle:VirtualBoxとHyper-Vの併用
- Microsoft:Windowsで仮想化を有効にする
- Microsoft:Windowsのシステム構成ツール
- Microsoft:Visual C++再頒布可能パッケージ
- Microsoft:Get-FileHash
- AlmaLinux:ダウンロード
- AlmaLinux:インストールガイド
- AlmaLinux:9.8リリースノート
この教材の対象と確認状況
Windows 11(Intel / AMDの64bit PC)、VirtualBox 7.2系、AlmaLinux 9系を対象にしています。2026年11月8日時点の公式資料を確認して作成しています。画面名はバージョンや表示言語で異なる場合があります。
掲載した出力は読み方を示す表示例です。この版はWindows実機で全手順を通した動作確認は未実施です。研修で使用する前に、ご利用のPC環境で事前確認をお願いします。
AZWorkが独自に構成した実習ガイドです。体系的に学ぶ参考資料として、LPI-JapanのLinuxサーバー構築標準教科書もご覧ください。